大阪弁護士会のアヴァンス刑事告発は改革か守旧か [司法書士]

大阪のアヴァンス法務事務所が告発されました。 司法書士ではなく事務員が債務整理手続きをしていたらしいです。 しかも、担当の司法書士の名刺を事務員が見せるだけで、一度も面会はなかったようで。 この記事には、この告発を「悪質な有資格者を追放する改革志向とプラスに評価」することも、「守旧派的な既得権益維持とマイナスに評価」することもできると書かれています。 以前から問題になっていた、悪質弁護士・司法書士として名前を出すことによって、他の弁護士・司法書士への警告になったのでは?と自分は思ってるんですがね?



大阪弁護士会のアヴァンス刑事告発は改革か守旧か
(2010年04月09日 PJニュース.net)


【PJニュース 2010年4月9日】アヴァンス法務事務所が無資格の事務員に債務整理交渉をさせた疑いがあるとして、大阪弁護士会は2010年4月8日までに弁護士法違反(非弁活動)容疑で大阪府警に刑事告発した。被告発人は事務所を運営する司法書士法人アヴァンス・リーガルサービス・グループの代表と副代表の司法書士、事務職員3人の計5人である。

大阪弁護士会によると、アヴァンスの事務職員は司法書士が受任したように装って、複数の消費者金融会社と交渉し、報酬を受領したという。中には消費者金融からの返還金全額を報酬として受け取ったケースもあるという。

今回の刑事告発は相反する評価を下すことができる。悪質な有資格者を追放する改革志向とプラスに評価することも、守旧派的な既得権益維持とマイナスに評価することもできる。

過払い金返還請求や債務整理を重点業務とし、積極的に宣伝広告するような事務所には、依頼人を食い物にする弁護士や司法書士がおり、依頼人とのトラブルが増えていることは既に大きく報道されている。そのような悪質な弁護士や司法書士が多重債務者に二次被害をもたらしていると批判されている。その意味で問題ある同業者の刑事告発は自浄作用の現れとして積極的に評価できる。

これは主流派閥が擁立した候補を破って当選するという快挙を成し遂げた宇都宮健児・日弁連新会長の訴える改革に通じるものがある。宇都宮氏は過払い金返還をビジネスとして扱うことにも、弁護士や司法書士の宣伝広告にも批判的である(宇都宮健児「弁護士・司法書士広告の問題点」消費者法ニュース第78号、2009年)。

テレビCMなど積極的に宣伝広告を行い、債務整理に特化したアヴァンスは、宇都宮氏が否定的に捉える事務所像に合致する。この点で今回の刑事告発は宇都宮氏の改革の先取りとも位置付けられる。主流派の一角でありながら、再投票で宇都宮氏が逆転勝利した大阪弁護士会が告発した点も意義深い。

一方で過払い金返還ビジネスには弁護士と司法書士の間に熾烈な縄張り争いがある。この点では大阪弁護士会による司法書士事務所の告発は、競争相手潰しの一環と否定的に評価することも可能である。これも宇都宮氏の改革への否定的評価に重なる。法曹人口削減などの宇都宮氏が主張する改革も、地方の弁護士の既得権維持ではないかと批判されている。

法律事務の事務職員への丸投げは司法書士に限らず、弁護士でも起こりうることである。「いつも事務職員が応対する」という不満を抱く依頼人は少なくない。弁護士会が既得権の擁護ではなく、改革を志向するならば司法書士に対する以上に身内である法律事務所の問題に厳しい姿勢で臨む必要がある。【了】

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。